スチレンブタジエンゴム(SBR:Styrene Butadiene Rubber)は、スチレンとブタジエンを原料として製造される代表的な合成ゴムの一種です。優れた耐摩耗性、耐久性、コスト効率の高さから、天然ゴムの代替材料として広く使用されています。特に自動車タイヤ、工業用ゴム製品、履物、接着剤など多様な分野で需要が拡大しています。

世界のスチレンブタジエンゴム市場は、2024年に約1,471億米ドルと評価されています。今後、市場は安定した成長を続け、2032年には約2,229億米ドルに達すると予測されています。予測期間中の年平均成長率(CAGR)は約5.3%とされており、堅調な拡大が見込まれています。
この成長は、主に自動車産業の回復とタイヤ需要の増加に支えられています。
スチレンブタジエンゴムは、自動車用タイヤの主要原材料として使用されています。世界的な自動車生産台数の増加や、交換用タイヤ需要の拡大により、SBRの消費量は着実に増加しています。また、燃費向上や低転がり抵抗を重視した高性能タイヤ向けに、ソリューション重合SBRの需要も高まっています。
タイヤ用途以外にも、履物、コンベアベルト、工業用ホース、ガスケット、接着剤、シーラントなど、さまざまな分野でSBRが使用されています。工業用途の多様化が市場拡大を後押ししています。
近年、製造技術の進歩により、性能を向上させた高機能SBRの開発が進んでいます。耐久性、耐摩耗性、低転がり抵抗を兼ね備えた製品は、自動車業界から高い評価を得ています。また、環境負荷低減を目的とした製造プロセスの改善や、持続可能性を重視した製品開発も市場の重要なトレンドとなっています。
一方で、スチレンブタジエンゴム市場は以下の課題にも直面しています。
スチレンやブタジエンなど原材料価格の変動
環境規制の強化による製造コストの上昇
天然ゴムや他の合成ゴムとの競争激化
これらの要因は、短期的に市場成長の抑制要因となる可能性があります。
地域別では、アジア太平洋地域が世界市場を牽引しています。中国やインドを中心とした自動車生産の増加、工業化の進展により、SBR需要は今後も高い成長が見込まれています。北米および欧州でも、安定したタイヤ需要により市場は堅調に推移しています。
スチレンブタジエンゴム市場は、自動車・タイヤ産業を中心とした需要拡大により、今後も安定した成長が期待されています。技術革新や環境対応型製品の開発が進むことで、市場の競争力はさらに高まると考えられます。原材料価格や環境規制といった課題はあるものの、長期的には成長性の高い市場として注目されています。