によると Fortune Business Insights、世界のカバ根エキス市場規模は2023年に13億8,000万米ドルとなり、2024年の16億1,000万米ドルから2032年までに54億5,000万米ドルへ拡大すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は16.47%と非常に高く、天然ハーブ抽出物の中でも最速成長カテゴリーの一つとして注目されています。特にオーストラリアが2023年に55.2%の市場シェアを占め、世界市場を大きくリードしています。
南太平洋地域で古くから儀式や社交飲料として親しまれてきたカバ(Piper methysticum)は、近年ではストレス緩和や不安抑制、睡眠サポートなどの機能が世界的に評価されつつあります。粉末や液体として加工されたカバ根エキスは、栄養補助食品、パーソナルケア、機能性飲料、医薬品分野など多様な用途へ拡大しており、需要曲線は上向きを維持しています。
無料サンプル研究PDFを入手する: https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/問い合わせ/リクエスト-サンプル-pdf/103694
カバ根エキスの拡大を語るうえで欠かせないのが、グローバルな健康・ウェルネス需要の高まりです。ストレス管理、精神的なリフレッシュ、睡眠改善といったテーマを中心に、天然ハーブの需要が急増しています。特に欧米では、アルコール飲料の代替として“酔わないリラックス飲料”が受け入れられ、カバ配合ドリンクの新ブランドや専門バー――いわゆる「カババー」――が急増中です。
北米では、カバ根エキスがサプリメントや医薬品に組み込まれるケースが増え、米国市場だけでも2032年までに3,028万米ドル規模に達すると予測されています。カプセル、錠剤、ティンクチャーなど形態の多様化も進み、従来のアセトン抽出物やエタノール抽出物に加え、クリーンラベル・オーガニック抽出物へのニーズも高まっています。
カバの主要生産国であるフィジーやバヌアツは、パンデミック中にサプライチェーンの混乱と貿易制限に直面しました。特にフィジーでは、サイクロン・ハロルドによる被害と渡航制限の影響で価格が急騰。ある教会関係者によれば、1kgあたり50米ドルから500米ドルへ10倍に跳ね上がった時期もあり、生産国の農家や輸出業者に直接的な打撃を与えました。
しかし、パンデミック明けには需要が一気に回復し、市場はむしろ拡大ペースを増す形で反転しています。世界的なストレス対策需要や天然成分人気が強く、供給安定化の施策や栽培支援プログラムも後押ししています。
2023年に55.2%という圧倒的シェアを保持し、世界最大の市場として突出しています。伝統と文化的利用に根付いており、消費量も輸出量も安定して高い点が特徴です。
ハーブサプリメント市場の成熟により、今後も安定成長が予測されています。不安緩和・睡眠サポート素材としての需要増が追い風となり、2032年には3,028万米ドル規模が見込まれています。
フィジーでは2021年市場規模が5億6,085万米ドル。国内消費と輸出がともに拡大しており、農村支援策により生産体制の強化も進んでいます。バヌアツは栄養補助食品市場の拡大により、生産額・輸出額ともに急上昇中です。
世界的なノンアルコール志向の高まりを背景に、カバ根エキスは機能性ドリンク市場で特に注目されています。リラックス作用を持ちながらアルコールのような酩酊を伴わないことから、若年層やウェルネス層を中心に人気が拡大しています。
2021年、Branded Legacy社はカバ配合飲料を提供するカババーを開設するためのパートナーシップを締結。ニュージーランドの「Four Shells Kava」では、チョコレート風味やフルーツ風味のカバ飲料が人気を集め、多様なフレーバー展開が進んでいます。こうした嗜好性の進化も、市場を押し上げる重要なトレンドの一つです。
健康志向の拡大とサプリメント産業の成長が、カバ根エキス市場の重要な原動力になっています。カバに含まれるカバラクトンは、ストレス不安の軽減作用が研究で示されており、合成医薬品の代替として人気が高まりつつあります。
特に、大衆の70〜80%が伝統医療に依存するとされる発展途上国では、手頃な価格で入手できる天然抽出物としての需要が強い背景があります。欧州で一時カバ抽出物が禁止されたものの、WHOが2015年に摂取安全性を認めたことで、近年の成長トレンドは安定しています。
一方で、中東・アジアを中心に市場浸透率が低い地域も存在します。原料の有効性に関する認知が不足していること、価格変動が大きいことが障害になっています。
カバは気候影響を受けやすく、洪水やサイクロンが生産量に直結します。バヌアツではサイクロン・ハロルドが栽培地に被害をもたらし、市場価格の高騰を招きました。こうした気候リスクは供給安定性の課題として今後も残り続けます。
製品タイプ別では、粉末状のカバ根エキスが最も大きな市場シェアを持ちます。扱いやすく、茶飲料やサプリメントへの利用が容易で、パーソナルケア製品にも広く採用されているためです。
液体抽出物は、飲料や食品への添加が進み、今後の成長が期待されています。欧米では自然な土風味のまま楽しむ層が増え、香料を加えないナチュラル飲料として人気が広がっています。
食品・飲料セグメントが最大シェアを占めます。健康意識の高まりにより、植物性抽出物を利用したフレーバーウォーターや機能性飲料の人気が高まり、カバの採用が増えています。
医薬品分野では、ハーブ医薬の需要が世界的に拡大し、神経疾患や炎症に関する研究も進展中で、今後の市場成長に大きな期待が寄せられています。
2021年に5億6,085万米ドルに達し、今後も輸出拡大が続く見込みです。農村支援策に加え、地元のカババー文化が消費全体を押し上げています。
栄養補助食品需要の拡大に伴い、輸出量・生産量が急増。抗不安作用や抗炎症作用を背景に伝統医療需要も高まっています。
トンガやニュージーランドでもカババー文化が広がり、飲料・健康食品の新たな素材として採用が増えています。
詳細はこちら: https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/業界-レポート/103694
市場は高度に細分化されており、Botanic Healthcare、NOW Health Group、Gaia Herbs、Root of Happiness、LifeSeasons など多数の企業が参入しています。製品革新やパートナーシップが市場シェア獲得の主要戦略です。
健康志向、ノンアルコール飲料の台頭、サプリメント産業の拡大、伝統医療への回帰など、多層的な要因が市場を押し上げています。課題として気候リスクや認知不足は残るものの、市場全体は今後も力強い成長軌道を維持するでしょう。2032年に向けて、機能性食品、健康飲料、医薬品の分野でカバ根エキスはより重要な役割を担うと考えられます。