エポキシ接着剤の世界市場は、自動車、建設、産業機器、電気・電子機器など幅広い分野で使用され、産業製造を支える重要な材料市場となっています。2025年の市場規模は30億2,400万米ドルと推定され、2026年には30億9,700万米ドルに達する見通しです。2026年から2032年までの年平均成長率(CAGR)は2.7%と予測され、2032年には36億3,400万米ドルに拡大すると見込まれています。

市場全体としては緩やかな成長が想定される一方、用途ごとに求められる接着強度、耐熱性、耐薬品性、硬化条件は異なり、高機能製品の開発と用途別の需要開拓が競争力を左右します。
■エポキシ接着剤の基本特性と製品構成
エポキシ接着剤は、主にエポキシ樹脂と硬化剤から構成される反応型接着剤です。硬化反応によって強固な接着層を形成し、優れた接着強度、寸法安定性、耐薬品性などを発揮します。金属、セラミックス、各種複合材料などの接合に適しており、一般工業、建設、自動車製造、電子機器組立、航空宇宙分野などで活用されています。
エポキシ接着剤は、主に一液型と二液型に分類されます。一液型は、樹脂と硬化に必要な成分をあらかじめ配合した製品で、使用時の混合作業を省略できる点が特徴です。一方、加熱硬化を必要とする製品が多く、保管時には低温管理が求められる場合があります。二液型は、主剤と硬化剤を別々に包装し、使用直前に混合して硬化させます。室温硬化に対応する製品も多く、現場施工から工業用途まで幅広く利用されています。
■エポキシ接着剤市場における製品別の需要動向
製品タイプ別では、二液型エポキシ接着剤が市場の75%超を占め、主要な製品区分となっています。二液型は、配合設計の自由度が高く、接着対象や使用環境に応じて硬化速度、粘度、接着強度などを調整しやすいことが強みです。大型部品の接合や構造接着、現場での補修など、多様な用途に対応できる点も普及を支えています。
一方、一液型エポキシ接着剤は、工程の自動化や品質の均一化を重視する製造現場で重要性を増しています。あらかじめ配合された材料を定量塗布し、加熱工程で硬化させることで、混合比のばらつきや作業ミスを抑制できます。ただし、加熱設備の導入や温度管理、保管条件の最適化が必要です。導入時には、接着性能だけでなく、製造タクトや総工程コストを含めた評価が求められます。
■自動車・建設・産業機器分野における用途別の市場機会
用途別では、自動車分野が最大の需要先であり、産業機器、建設、電気・電子、エネルギー・電力分野が続きます。自動車製造では、車体部品の構造接着や異種材料の接合に加え、振動抑制と軽量化を両立するエポキシ接着剤への関心が高まっています。建設分野では、金属や複合材料の接合、設備の補修などに利用され、産業機器分野では耐久性や耐薬品性が重要な選定基準となります。
電気・電子分野では、部品の固定や保護、絶縁性の確保などが主な用途です。製品の小型化と高密度化が進むなか、塗布精度や硬化時の寸法変化、熱による部品への影響を管理する必要があります。エネルギー分野でも、設備の使用環境に応じた耐熱性や長期信頼性が求められます。
■主要メーカーの競争環境と技術開発
主要企業には、Henkel、Hexion、Sika、DuPont、上海康達新材料をはじめ、H.B. Fuller、Bostik、3M、Huntsman、Mapei、Ashlandなどが含まれます。世界上位5社の合計シェアは約27%であり、上位企業が市場全体を独占する構造ではありません。各社は製品ポートフォリオの拡充に加え、用途別の性能設計、顧客との共同開発、製造工程への適合性を通じて差別化を図っています。
2026年4月には、Henkelが接着剤の性能を設計シミュレーションに組み込む人工知能活用型プラットフォーム「LOCTITE SOLVE」を発表しました。また、同年5月には、自動車向けの構造接着と振動減衰を両立する一液型接着剤「Teroson EP 52」シリーズを発表しています。これらの動向は、材料単体の性能向上だけでなく、設計段階での材料選定の効率化や、製造工程全体の最適化が重要になっていることを示しています。
■エポキシ接着剤市場の地域構造と今後の展望
地域別では、アジア太平洋地域が世界市場の約58%を占め、最大市場となっています。北米と欧州も主要な需要地域ですが、原資料では両地域のシェアがそれぞれ34%超とされており、アジア太平洋地域のシェアと単純合算すると100%を超えます。集計区分や数値の定義が明示されていないため、地域別シェアの比較には留意が必要です。
市場予測では、エポキシ接着剤は2026年から2032年にかけて年平均2.7%で成長する見通しです。今後は、自動車の軽量化、電動化に伴う部品構造の変化、電子機器の高密度化などが用途別の需要を左右すると考えられます。メーカーにとっては、接着強度や耐久性の向上に加え、硬化時間の短縮、保管条件の改善、塗布工程の自動化への対応が重要です。市場の持続的な成長には、顧客の製造課題を解決する材料開発と、品質・コスト・生産性を総合的に最適化する提案力が不可欠となります。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「エポキシ接着剤―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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