
物品から個人へのAMR(自律走行搬送ロボット)市場は、電子商取引の拡大、物流業界の人手不足、人件費の上昇を背景に急速な成長が見込まれています。世界市場規模は2025年に2,495百万米ドルと推定され、2026年には3,002百万米ドルに達する予測です。2026年から2032年までの年平均成長率(CAGR)は22.6%で、2032年には10,190百万米ドルへ拡大すると見込まれています。
物品から個人へのAMRは、倉庫内の商品を作業者のもとへ自律的に搬送する物流自動化ソリューションです。作業者が保管棚の間を移動する従来方式と比べ、歩行距離やピッキング時間を削減し、出荷処理能力と作業精度の向上に貢献します。
■物品から個人へのAMRを支える自律走行技術
物品から個人へのAMRは、LiDAR(レーザー検知・測距)やカメラによる環境認識、自己位置推定、経路計画を組み合わせて倉庫内を移動します。製品タイプ別では、LiDARと画像認識を併用する方式が約79%を占めています。センサー融合とSLAM(自己位置推定と環境地図作成)により、固定された誘導線に依存せず、障害物やレイアウトの変化に対応できる点が強みです。
また、倉庫管理システム(WMS)や倉庫運用管理システム(WES)との連携により、注文情報、在庫位置、搬送指示を統合できます。一方、通信障害、ロボット同士の渋滞、床面環境の変化などは運用上の課題であり、導入時には走行性能だけでなく、群制御や安全管理も評価する必要があります。
■用途別市場と導入事例に見る成長機会
用途別では、電子商取引が市場の約36%を占め、最大のセグメントとなっています。物流・第三者物流、小売、製造業でも、注文量の変動や多品種少量出荷への対応を目的に導入が進んでいます。2026年4月には、MaerskとHai Roboticsがシンガポールのファッション物流施設で、保管密度の向上と作業者への商品搬送を組み合わせた自動化事例を公表しました。
また、同年6月にはAmazonが欧州物流網への投資計画とともに、搬送・荷役ロボットの高度化を発表しています。これらの事例は、物品から個人へのAMRが単独の搬送機器ではなく、保管設備、作業ステーション、ソフトウェアを統合する物流基盤へ発展していることを示しています。
■物品から個人へのAMR市場の競争環境と将来展望
主要企業にはGeekplus Technology、Mobile Industrial Robots、Omron、ABB、GreyOrange、6 River Systems、Fetch Robotics(Zebra)、Dematic、ForwardX Robotics、KUKA(Swisslog)、Locus Roboticsなどがあります。上位3社の合計シェアは約26%で、北米が地域別市場の約35%を占めています。今後は、電子商取引の拡大に加え、人手不足への対応や既存倉庫の省人化投資が市場成長を支える見通しです。ただし、導入効果はロボットの台数だけでは決まりません。
注文特性、保管配置、ピッキング方式、システム連携を踏まえ、投資回収期間や稼働率を総合的に評価する必要があります。2032年に向けて市場が拡大するなか、柔軟な拡張性、安全性、運用データに基づく継続改善を実現できる企業が、競争優位性を高めると考えられます。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「物品から個人への AMR―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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https://www.qyresearch.co.jp/reports/1626906/goods-to-person-amrs
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