ショットキー整流ダイオードの世界市場は、2025年に16億7,600万米ドルと推定され、2026年には18億8,100万米ドルに達する見通しです。2026年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)13.6%で拡大し、2032年には40億3,700万米ドルに達すると予測されています。

低い順方向電圧と短い逆回復時間を特徴とするショットキーバリアダイオード(SBD)は、高速スイッチングが求められる電力変換回路で重要な役割を担います。特に、電気自動車(EV)、充電設備、再生可能エネルギー、データセンター向け電源の普及を背景に、炭化ケイ素(SiC)を用いた製品の需要拡大が期待されています。
■ ショットキー整流ダイオードの構造と技術的特徴
ショットキー整流ダイオードは、一般的なpn接合とは異なり、金属と半導体の接合によってショットキー障壁を形成する半導体デバイスです。モリブデンなどの金属とn型半導体を組み合わせた構造が実用化されています。順方向電圧が低く、逆回復時間が短いため、スイッチング損失の低減や高周波動作に適しています。電力回路における逆流防止、整流、電源制御のほか、高周波回路などにも使用されます。表面障壁ダイオード、ホットキャリアダイオードなどの名称でも知られ、用途に応じた電圧、電流、耐熱性の設計が求められます。
■ SiからSiCへの技術移行が市場を左右
製品別では、従来のシリコン(Si)ショットキーバリアダイオードが市場規模で優位に立つ一方、SiCショットキーバリアダイオードはより速い成長を示しています。SiCは高耐圧・高温動作に適しており、高効率化が重視される電力変換用途で採用が進んでいます。代表的な用途には、EV・ハイブリッド車の車載充電器(OBC)、DC/DCコンバーター、EV充電設備、産業用モーター駆動装置、太陽光発電、蓄電システム、風力発電、無停電電源装置(UPS)、データセンター向け電源などがあります。ただし、SiC製品の採用では、素子単体の性能だけでなく、コスト、熱設計、回路全体の効率を総合的に評価する必要があります。
■ 電気自動車市場の拡大と車載用途
原文に示された2023年の実績では、世界の新エネルギー車販売台数は1,465万台となり、前年比35.4%増を記録しました。中国の販売台数は949万5,000台で、世界全体の64.8%を占めています。中国は新エネルギー車の生産・販売で8年連続世界首位となりました。同年の米国と欧州の販売台数は、それぞれ294万台、146万台で、前年比の伸び率は18.3%、48.0%でした。また、ショットキー整流ダイオードの用途では、自動車分野が65%超を占めるとされています。EVの電力変換システムでは、電力損失の抑制と熱管理が重要であり、車載充電器やDC/DCコンバーターに用いられるSiC素子が市場拡大の主要な要素となっています。
■ 再生可能エネルギーと産業用電源への応用
ショットキー整流ダイオードの需要は、自動車分野に限られません。太陽光発電や蓄電システム、風力発電では、電力変換効率の改善が設備全体の性能向上につながります。産業用途ではモーター駆動装置や電源回路、通信分野では通信機器の電源、さらにデータセンターやサーバー向け電源でも高効率化への要求が高まっています。こうした用途では、導通損失やスイッチング損失に加え、温度上昇や長期信頼性も重要な評価項目です。用途ごとの動作条件を踏まえた製品選定が、半導体メーカーの競争力を左右します。
■ 主要メーカーと競争環境
SiCショットキーバリアダイオード市場では、STMicroelectronics、Infineon、Wolfspeed、ROHM、onsemi、Sanan Optoelectronicsなどが主要企業として挙げられます。市場全体には、Vishay Intertechnology、Nexperia、Diodes Incorporated、Toshiba、Fuji Electric、Texas Instruments、Renesas Electronics、Sanken Electric、Shindengen、Navitas、Qorvoなど、多数の半導体メーカーが参入しています。競争環境を評価するには、販売数量、売上高、価格、市場シェアに加え、製品構成、粗利益率、技術開発、事業提携や買収の動向を確認することが重要です。SiC分野では、性能向上とコスト競争力の両立が市場での地位を確立する鍵となります。
■ 市場調査を活用した成長戦略
市場分析では、製品をSi SBD、SiC SBD、その他に分類し、自動車・輸送、エネルギー・電力網、民生、産業、通信、航空電子・軍事・医療などの用途別に需要を比較します。地域別には北米、欧州、中国、日本、東南アジアを含む各市場を対象とし、2025年を基準年として2021年から2032年までの販売数量、売上高、価格を分析します。さらに、主要企業の競争状況から上流の材料・部品供給、下流の機器メーカーまでバリューチェーンを把握することで、成長機会と供給リスクを評価できます。定量データと技術動向を組み合わせた分析は、製品開発、投資配分、地域戦略を検討するうえで重要です。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「ショットキー整流ダイオード―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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