ポリイミドは、優れた熱安定性、機械的強度、耐薬品性、誘電特性を備えた高性能ポリマーである。イミド結合を持つ安定性の高い分子構造により、高温や厳しい環境下でも性能を維持できることから、航空宇宙、電子・半導体、自動車、産業機器など幅広い分野で利用されている。薄膜、コーティング、繊維、接着剤、成形部品など多様な形態で供給される点も特徴であり、高性能材料への需要拡大がポリイミド市場を支えている。
■ポリイミドの特徴と主要用途
ポリイミドは、二無水物とジアミンを重合して得られる高性能材料であり、優れた耐熱性と電気絶縁性を持つ。特に電子・半導体分野では、絶縁層、フレキシブルプリント基板、チップ封止などに利用されている。また、電線絶縁、エンジン部品、シール材、絶縁コーティングなど、耐熱性や耐久性が求められる用途でも重要な役割を担っている。
■ポリイミド市場規模予測

QYResearch調査チームの最新報告書によると、ポリイミドの世界市場は2025年に10,200百万米ドルと推定され、2026年には10,740百万米ドルに達すると予測されている。その後、2026~2032年にCAGR 5.9%で推移し、2032年には15,130百万米ドルまで拡大すると見込まれている。
ポリイミド市場規模予測
2025年:10,200百万米ドル
2026年:10,740百万米ドル
2032年:15,130百万米ドル
2026~2032年CAGR:5.9%
■ポリイミド樹脂が主要製品
製品タイプ別では、ポリイミド樹脂が主要な細分製品となっており、約48.3%のシェアを占めている。高い耐熱性、機械的強度、電気絶縁性などを背景に、電子部品や産業用途を中心として幅広く利用されている。
用途別では、電子・電気業界が最大の需要源であり、約66.4%のシェアを占める。電子機器の小型化や高出力化に伴い、より高い加工温度・使用温度に耐えられる材料への需要が高まっていることが、ポリイミドの採用を支える要因となっている。
■主要メーカーと競争構造
ポリイミド市場の主要メーカーには、デュポン、サビク、トーレイ、ユービーイー、サンゴバン、カネカ、PIアドバンストマテリアルズ、三菱ガス化学、三井化学、タイミデテクノロジーなどが含まれる。2024年時点では、世界上位10社が市場シェアの約75.0%を占めており、主要企業への市場集中度が高い構造となっている。
■電子・半導体とEVが需要を牽引
電子・半導体分野に加え、航空宇宙や自動車産業もポリイミドの重要な需要先である。航空宇宙・自動車では、軽量化と過酷な環境への耐久性を両立できる材料が求められており、ポリイミドの特性が適合する。さらに、電気自動車(EV)や5Gインフラの普及によって、バッテリー絶縁、高周波回路基板、熱管理などへの応用機会も広がっている。
■高耐熱化と熱伝導性向上が技術課題
今後の研究開発では、ポリイミドのさらなる高性能化が重要となる。原文では、450℃で長期使用可能な新型ポリイミドや、グラフェン添加によって熱伝導率を5W/m・Kまで高めた材料が紹介されている。こうした技術は、超音速飛行機やチップ封止など、より厳しい熱環境に対応する用途への展開につながる可能性がある。
■バイオベース・リサイクルと新興用途
環境対応では、植物由来ジアミンを利用したバイオベースポリイミドや、化学的解重合によるリサイクル技術の研究開発が進められている。また、水素エネルギー分野ではプロトン交換膜、柔軟性ロボット分野ではポリイミド繊維を利用した人工筋肉など、新たな用途への展開も進んでいる。今後は航空宇宙、電子、新エネルギー自動車などの高性能材料需要を背景に、性能向上とコスト最適化を両立しながら、ポリイミドの応用領域がさらに広がることが期待される。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「ポリイミド―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」 を紹介しています。
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